アーチーズ国立公園とキャニオンランズ国立公園の旅行記

はじめに
デリケート・アーチ、夕日

アーチーズ国立公園とキャニオンランズ国立公園はユタ州の東部にある国立公園。ユタ州にはマイティー・ファイブ(Mighty Five)と呼ばれる5つの国立公園があり、この2つの国立公園はそれぞれ特色のある素晴らしい景観を見せてくれる。

この2つの国立公園は隣接しており、モアブ(Moab)の町を拠点に両方を見て回ることができる。モアブからアーチーズ国立公園の入口までは15分ほど。キャニオンランズ国立公園の入口までで40分ほどの距離。国立公園ではないが、デッド・ホース・ポイント州立公園も近くにあるので外せない。

11月の初旬に訪れたのだが、最高気温は25度以上になり暑いぐらいの気候だった。

アーチーズ、キャニオンランズ地図
アーチーズ国立公園(Arches National Park)

アーチーズ国立公園には2000個以上のアーチ状の岩があり、世界でもっともアーチが多い地域らしい。デリケート・アーチ、ランドスケープ・アーチやダブル・アーチは特に有名。アーチ以外にもフィン(Fin)と呼ばれる背びれの形をした薄い板状の岩もたくさんある。 フィンはアーチの前段階の状態で、フィンの中央部の浸食が進んでアーチができるらしい。

デリケート・アーチ(Delicate Arch)

デリケート・アーチはアーチーズ国立公園で一番有名なアーチ。ユタ州の車のナンバープレートにもなっているシンボル的な存在。このアーチは小高い丘の上にあるのだが、丘の中央はすり鉢状に深くくぼんでいて、そのすり鉢の縁に高さ約16mのアーチがまるで凱旋門のような趣で立っている。他のアーチのほとんどは、フィン状の岩にあいた穴という感じだが、それらとは全く異なる

デリケート・アーチへのトレイルは往復5km弱、高低差200mほどで往復二時間ほどの距離。トレイル・ヘッドの1kmほど先には車で行ける展望所もある。モアブに着いた翌日に日の出の撮影のためにデリケート・アーチを目指した。片道一時間かかるので日の出の90分ほど前、まだ真っ暗ななかヘッド・ランプを付けてトレイル・ヘッドを出発。初めてのトレイルで、暗い中目印も見つかりにくく、途中トレイルを外れてしまうアクシデントもあったが、なんとか日の出前にアーチにたどり着くことができた。グーグル・マップを予めダウンロードしてあった(携帯の電波は国立公園内ではほとんど入らない)ので助かった。

ネットで調べていた撮影ポイントはすり鉢状のくぼみをはさんでアーチの対岸。トレイルを登ってきたら最初にアーチが見えるあたり。この角度からはすり鉢状のくぼみ、アーチそして遠景に冠雪したラ・サル山脈という構図。日の出はアーチの左から出るはずだったのだが、、、。アーチの左にある大きな岩に遮られてしまって、日の出の瞬間は撮ることができなかった。

日中はデビルズ・ガーデンなどに行って、夕方にもう一回戻ってきた。実はデリケート・アーチは夕日の写真のほうが有名。日の出と同じ撮影ポイントから夕日がアーチを照らす美しい姿見ることができる。

トレイルを50mほど戻るったところには別名フレーム・アーチと呼ばれる小さなアーチがある。このアーチをフレームにしてみるデリケート・アーチが美しい。実は日の出の写真の撮影はここも考えていたけれど、少し遠いのでアーチが小さくなり、アーチも斜めになる。ここだと間違いなく日の出はいい角度で登ってきたはずなんだけれど。

デビルズ・カーデン(Devil's Garden)
ランドスケープ・アーチ

デビルズ・カーデンでは往復7kmほどのダブル・オー・アーチ(Double O Arch)トレイルをハイキングした。トレイル・ヘッドから1km弱でランドスケープ・アーチ(Landscape Arch)に着く。このアーチは公園内で一番長いアーチでその長さは87mにもおよぶ。その長さにもかかわらず、厚さは3-4mしかなくその薄さが特徴的で美しい。以前はアーチの下をくぐれたようだが、1991年にアーチの一部が崩壊したため、現在では少し離れたトレイルからしか見れないようになっている。

ランドスケープ・アーチまでのトレイルは比較的平坦だが、その先は結構険しい。多くの人はランドスケープ・アーチで引き返していた。フィンの尾根で両側絶壁になっている所を歩いたり、足場が悪い急坂があったりする。グリップの良いハイキング・ブーツでのハイキングを勧める。トレイルの途中の景色もフィンがたくさん平行に並んでいたりして飽きさせない。

トレイルの終点にあるダブル・オー・アーチは一枚のフィンに二つのアーチが2段重ねになっているのが珍しい。アーチをくぐって坂を少し登るとアーチ越しの景色が美しい。

ウィンドウズ・セクション(Windows Section)
ダブル・アーチ

ウインドウズ・セクションでは駐車場から数百mの距離にいくつかの見応えのあるアーチがある。ダブル・アーチ(Double Arch)は二つのアーチが直行する形につながっている不思議な形のアーチ。水の浸食が横からではなく上から起きたためこのような形になったらしい。大きなアーチは高さ34m、幅43mと公園内で二番目に大きく、もっとも高いアーチらしい。アーチの真下から見上げた姿が面白い。

ノース・ウィンドウ(North Window)とサウス・ウィンドウ(South Window)は、横に長い一つのフィンに並んで窓のような穴が二つ開いている。少し離れて見ると二つの穴の間に大きな岩があり、どう見てもメガネと鼻にしか見えない。ノース・ウィンドウの裏側に回り込むとアーチを通して変わった形のタレット・アーチ(Turret Arch)が見ることができる。

バランスド・ロック(Balanced Rock)は40mの高さで、絶妙なバランスで岩が乗っている巨石。奇岩が集まったエデンの園(Garden of Eden)も見どころ。

ウィンドウズ・セクションのメインの駐車場から公園の入口方向に1kmほど戻ったところにある駐車場の近くからはタレット・アーチとラ・サル山脈が遠くに重なる。望遠で切り取るといい感じ。

その他の見どころ

その他の見どころとしてはフィンが沢山集まっているFiear Furnace、砂地の中にあるSand Dune Archや公園の入口近くのいくつかのフィンの奇岩が集まっている所 (Par Avenue, Organ, Court House, Three Gossips)などがある。

キャニオンランズ国立公園(Canyonlands National Park)
キャニオンランズ国立公園

キャニオンランズ国立公園はコロラド川とグリーン川が合流する場所にあり、二つの川によって深く浸食され渓谷が壮大な景観を作り上げる。コロラド川とグリーン川によって公園は3つのセクションに分かれているが、2つの川と渓谷に囲まれ半島状のセクションがアイランド・イン・ザ・スカイ(Island in the Sky)というエリアで、私達を含めほとんどの人はここを訪れる。

他の2つはニードルズ(The Needles)とメイズ(The Maze)で、コロラド川の右岸と左岸に位置するセクション。深い渓谷には橋がかかっていないので、それぞれのセクションに行くには数百マイルの回り道をしなくてはならない。

アイランド・イン・ザ・スカイは半島状の台地になっていて、その周りを深い渓谷が取り囲んでいる。渓谷は二段階になっていて、アイランド・イン・ザ・スカイから300m下がったところにホワイト・リムと言われるテラス状の段があり、さらにその下300mに川が流れている。

コロラド川の250kmほど下流にあるグランド・キャニオン公園とはその景観はだいぶ異なる。グランド・キャニオンの渓谷は深さ1600mの渓谷で、対岸までは6kmほどの距離。これに対し、キャニオンランズの渓谷は一段下がったテラス状のホワイト・リムが広大で、全く違った感動が味わえる

メサ・アーチ(Mesa Arch)
メサ・アーチ、朝日

メサ・アーチは朝日の撮影スポットしてはキャニオンランズとアーチーズ国立公園を含めて随一。メサ・アーチの東側にコロラド川の深い渓谷があるので、朝日を逆光にアーチを通して見た渓谷と、朝日の反射でアーチの下面が赤く照らされた光景はまさに絶景。

モアブに着いて初日の早朝がデリケート・アーチ、二日目の早朝はデッド・ホース・ポイント(曇っていたのでメサ・アーチは回避)、そして三日目が本命のメサ・アーチ。ここは駐車場からアーチまで近いし、前日に下見もしているので準備万端。ネットの情報によると人気の場所なので日の出の90分前には到着したほうが良いとのこと。先客は一人だけで、おかげでアーチの中央やや左側の狙っていた撮影スポットが確保できた。結局、日の出の30分前に一列目が埋まるという感じで、最終的に三脚での撮影者は4名だけだったので少し拍子抜けだった。

一番乗りで来ていた人と雑談したり、アプリで日の出の方向を再確認したりしながら日の出を待つ。日の出の瞬間とともにみんな静まり返り、シャターを切る音だけが聞こえてくる。思い描いていた景色が見れて感動的だった。

グランド・ビュー・ポイント(Grand View Point)

グランド・ビュー・ポイントはアイランド・イン・ザ・スカイの南端、コロラド川とグリーン川が合流する場所にある。駐車場近くの展望所からはコロラド川側の渓谷しか見えないが、往復3kmほどのトレイルを歩くと、コロラド川とグリーン川の両側の渓谷が見渡せる絶景を味わえる。高低差もあまりなく、時間があればおすすめのトレイル。

グリーン・リバー展望所(Green River Overlook)

グリーン・リバー展望所(Green River Overlook)はその名の通りグリーン川側の渓谷が綺麗に見える場所。グリーン・リバーの渓谷はその名の通り緑っぽい岩が多い。赤いコロラド・リバーの渓谷(colorado=color red)とは対照的。

シェイファー・キャニオン(Shafer Canyon)
シェイファー・キャニオン

アイランド・イン・ザ・スカイを取り囲む渓谷の一段目のテラス状の段にはホワイト・リム・ロードというダート・ロードがある。ホワイト・リム・ロードへのアクセス道になっているのがシェイファー・キャニオン(Shafer Canyon)。ホワイト・リム・ロードはもともと冷戦下にウラン鉱石の採掘の際にに使われたらしいが、今ではオフ・ロードの車やバイクのコースになっている。実のところ行くまであまり期待していなかったけれど、展望台の眼下の崖をつづらおりに続く道と渓谷の景観は圧巻だった。

デッド・ホース・ポイント州立公園(Dead Horse Point State Park)
デッド・ホース・ポイント

デッド・ホース・ポイント州立公園はキャニオンランズ国立公園のすぐ近く。コロラド川の上流側にある州立公園で、蛇行するコロラド川によって作られた深い渓谷と断崖はまさに壮観。コロラド川がグース・ネックのように180度屈曲する部分を斜め上からみることになり、屈曲部を真正面から見るホース・シュー・ベンドとは趣が違う。日の出とともに深い渓谷の断崖が徐々に朝焼けに染まっていくさまは美しかった。

フォトギャラリー

アーチーズ国立公園

キャニオンランズ国立公園

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旅程
 

最終更新日:2024年4月26日