ザイオン国立公園の旅行記

はじめに
ザイオン国立公園、ナローズ

ザイオン国立公園はユタ州の南西部にある国立公園。ユタ州にはマイティー・ファイブ(Mighty Five)と呼ばれる5つの国立公園があり、その中で最も人気の高い国立公園。

11月の初旬に訪れたのだが、最高気温は25度以上になる日もあり、寒いだろうと諦めていたザ・ナローズ(The Narrows)という川の中を歩くハイキングもできた。ちょうど紅葉の時期に重なり、黄色に色づいた木々とキャニオンの赤茶色の岩の対比が美しかった。

ザイオン国立公園(Zion National Park)
ザイオン国立公園の地図

ザイオン国立公園はザイオン・キャニオン、コロブ・セクション、東部セクションに分かれている。

ザイオン・キャニオンが一番人気で、ヴァージン川にに浸食された渓谷は長さ25km、深さ800mにおよぶ。バージン川に沿った渓谷の中が観光の中心になる。ザイオン・キャニオンの切り立つ岩は赤、茶、ピンク、白などの様々な色の層からなり独特な景観を作り上げる。ナバホ砂岩からなる岩は酸化の程度で様々な色を呈するらしい。

特にザ・ナローズとエンジェルズランディングのトレイルが人気(地図の赤線)。

冬を除いてザイオン・キャニオンには自家用車の乗り入れができないので、シャトルを使っての移動になる。(地図のがシャトルの停留所。)

シャトルのチケットはネットで予約することになるが、一ヶ月前の発売後すぐに売り切れるので注意。チケットがないとツアー会社のシャトルを使うか、電動自転車を利用しなくてはならなくなる。(2020年には必要だったが、現在はシャトルの予約は必要ないよう。)

ザ・ナローズ(The Narrows)
ザイオン国立公園、ナローズ

ザ・ナローズはザイオン国立公園で最も人気のあるトレイルの一つ。ザイオン・キャニオンの一番上流部で最も狭くなったセクション。最も狭い場所では渓谷の幅が5-6mで、両側に数百mの岩壁がそびえ立つ。その中をヴァージン川が流れているので、川の中をハイキングすることになる。春先の雪解け水や雨が降った後に川の水が増量するとトレイルは閉鎖される。

11月の初旬だったので寒いだろうとザ・ナローズのハイキングは考えていなかったのだが、前日リバー・ウォーク・トレイルを散策したら、たくさんの人がトレイルに入っていくのを見て考えを変えた。水の温度は13度と冷たいが最高気温が25度ぐらいまで上がるのでなんとかなるだろう。その日の観光は早めに切り上げ、公園の玄関口の町に戻り必要な装具を借りることにした。水の中の岩場を歩くのでグリップの効くブーツ、腰までの丈のドライ・パンツ、ウェット・スーツ生地の靴下、カメラを入れるドライ・バッグと木の杖。因みにレンタル料は一人50ドルぐらい。

ザイオン国立公園、ナローズ

翌日8時半過ぎにシャトルバスに乗り込み、終点のシナワヴァ寺院(Temple of Sinawava)でおりる。ここでシャトルを降りた人の四人に一人ぐらいが私達と同じような服装をしており、ザ・ナローズに行くようだ。中には小学生低学年の子供連れもいる。

リバー・ウォーク・トレイルを1.5kmほど歩くとザ・ナローズのトレイル・ヘッド。ここで装備の確認をして川の中を歩きはじめる。最初の2kmぐらいは渓谷の幅も広く、ところどころ岸を歩くことができる。このあたりは日も少し入るので、黄色に紅葉した木があり絵になる。オーダーヴィル・キャニオン(Orderville Canyon)との分岐点を過ぎたあたりからが ウォール・ストリート(Wall Street)というセクション。ウォール・ストリートは渓谷は急に狭くなり川の流れも速くなる。両側に岩壁が高くそびえ立る。まさに写真で見ていた光景で感動的。

往路は写真を撮ったり休んだりする時間を含めて3時間半ほどかけてハイキングを楽しんだ。復路は2時間ほどかけてトレイル・ヘッドに戻った。川の流れと川底の大きな石がごろごろしているので足を滑らせないように歩くのは思ったより大変だった。長時間のハイキングには三脚は普通持って行かないのだけれど、ここには持っていかないわけにはいかない。レンズは一本に絞ったけれど、じわじわと重みが効いてくる。レンタル装具を返してホテルに着いたのは午後5時ごろで、どっと疲れが出た。

私達がハイキングした日の川の流量は42(CFS: cubic ft/sec)で少ない日だったらしい。川の流量が150CFSを超えるとトレイルは閉鎖される。春の雪解け水が多い時期には閉鎖されることが多いらしい。

川の流量は このサイト 調べることができる。装具のレンタル店でも流量を確認できる。

ザ・ナローズのハイキングは私達がやったような下流から上流に登り、適当なところで引き返すルート(bottom-up)と、26kmにおよぶザ・ナローズ全長を上流から二日かけて下るルートもある(top-down)。こちらはパーミットが必要なので注意。

エンジェルズ・ランディング(Angels Landing)
ザイオン国立公園、エンジェルズ・ランディング

エンジェルズ・ランディングはザイオン・キャニオンの西側のリムから半島状に細長く突き出た部分。エンジェルズ・ランディングへのトレイルは往復8km、高低差500mで、ザ・ナローズとならび人気がある。人気の理由はトレイルの最後の1kmほど両側絶壁の細い尾根をチェーンに捕まりながら歩くセクション、そして、エンジェルズ・ランディングからの360度のパノラマ。

実は、私達はエンジェルズ・ランディングの半島部分の基部にあるスカウト・ルックアウト(Scout Lookout)まで登り、エンジェルズ・ランディングには登らなかった。最近高所恐怖症気味なのとコロナ禍で人の多いトレイルは避けたいとの思いがあったので断念した。

スカウト・ルックアウトまでのつづら折りのトレイルからザイオン・キャニオンを見下ろす景観はそれで絶景。黄色い紅葉、緑の針葉樹とキャニオンの赤茶色の岩の対比が美しかった。多分エンジェルズ・ランディングからの景色に引けを取らないのでは、と負け惜しみをいってみたり。

エンジェルズ・ランディングのかわりスカウト・ルックアウトからウェスト・リム・トレイルの一部を数キロほど歩いた。ウェスト・リム・トレイルはコロブ・テラス・ロードの一番上にあるラヴァ・ポイントからザイオン・キャニオンまで下る30kmのトレイルの一番下の部分。

ザイオン・キャニオン展望所(Zion Canyon Overlook)と東側セクション
ザイオン、チェッカーボード・メサ

ザイオン国立公園の入り口からすぐ右(東方面)へ曲がるとマウント・カーメル・ハイウェイ。ハイウェイはキャニオン沿いに登り、トンネルを抜けるとすぐにザイオン・キャニオン展望所のトレイルヘッドがある。駐車場はトンネルを抜けてすぐに10台分ぐらいしかなく、多くの人は道沿いに車を駐車している。1.5kmほどのトレイルは歩くと車で登ってきたキャニオンを見渡す展望所に着く。夕日の時間に行ったが結構混んでいた。

マウント・カーメル・ハイウェイをさらに東に進むと巨大な岩山を数々を見ることができる。チェッカーボード・メサ(Checker Board Mesa)はその一つで、縦方向と横方向に等間隔に亀裂が入っている。

コロブ・セクション(Kolob Section)

コロブ・セクションはザイオン・キャニオンとつながっていないいので、一旦I-15を北上してアクセスすることになる。コロブ・キャニオン・ロードをドライブするといくつかの展望所がある。一番眺めが良かったのは一番奥にあるコロブ・キャニオン・ビューポイント。ここからさらに奥に続くキャニオンが見晴らせる。ティンバー・クリーク・オーヴァールック・トレイルをハイキングしたけれど、結局トレイル・ヘッドの方が眺めがよかった。コロブ・アーチというアメリカ最長(計りかたによっては2番め)のアーチがあるのだが、往復20kmのトレイルの先にあるらしいので、ハードルが高すぎる。

コロブ・テラス・ロード(Kolob Terrace Road)

ザイオン・キャニオンとコロブ・セクションをヴァージンの町からラヴァ・ポイント(Lava Point)までの美しい景観が広がるドライブ。ラヴァ・ポイントはザイオン国立公園の一番高いところにあり、ザイオン・キャニオンまで続くウェスト・リム・トレイルのトレイル・ヘッドでもある。その他にサブウエイ(Subway)という有名なトレイルのトレイル・ヘッドがこの道沿いにある。

ザイオンで結婚式?

公園内で結婚式の衣装を着たカップルを何回か見たけれど、結婚式とは別にフォト・セッションをやってるんだろうと思っていた。リバー・ウォーク・トレイルの近くではカップル以外に結婚式の参列者らしき人もいたけれど、映画の撮影かなにかと思っていた。

旅行が終わって帰ってから、同僚にザイオンに行った話をしたら、なんとその同僚はザイオン国立公園で数年前に結婚式をあげたとのこと。公園のエントランスの近くで結婚式をし、公園内の何ヵ所かで写真撮影をしたらしい。

リバー・ウォークでみたのは本物の結婚式だったらしい。ザイオン国立公園の ホーム・ページ によると公園内の屋外のスペースのリストがあり、その中から選んで結婚式をあげられることのようだ。ネットで調べると結構ポピュラーなのかもしれない。

カナブ(Kanab)周辺
コーラル・ピンク・サンド・デューンズ州立公園

カナブはザ・ウェーヴ(The Wave)として知られるCoyote Buttesの玄関口の町。ザ・ウェーヴは岩質がもろいので保護のため一日20人に入場者数が制限さている。当日枠10人が前日の朝に抽選会があるので、それに参加するためカナブに二泊分の宿をとっていた。

着いた日は小雨、翌日は雪の予報。ザ・ウェーヴまでの道はダート・ロードなので雨が降るとぬかるんで通行できなくなる。抽選会の会場でもあるビジター・センターに様子を聞きに行くと、無理だと思うと言われた。抽選にはずれたときの代替案として予定していたBuckskin Gulchも無理とのこと。

予定変更してビジター・センターで勧められたところに行くことにした。コーラル・ピンク・サンド・デューンズ州立公園(Coral Pink Sand Dunes State Park)はカナブから車で30分のところにある砂丘。茶褐色のナバホ砂岩が風に乗って運ばれてきてできた砂丘は名前の通りピンクで鮮やか。広い砂丘をハイキングしたり、オフ・ロード車でドライブしたり、そり遊びで楽しめる。幸い雨が降った後だったので砂埃もひどくない。砂丘を独り占めにして、思いの外はしゃいでしまった。

翌日はマーブル・キャニオン・ループ(Marble Canyon Loop)のドライブ・ルートを回った。カナブから89号線を通りアリゾナ州のペイジ(Page)に行き、帰りはコロラド川にかかるナバホ橋を渡り89A号線でカナブに戻る。主な見どころはきのこのような奇岩があるToadstools、コロラド川をせき止めてできたLake Powell、 PageのHorseshoe Bend、Navajo橋、Cliff Dwellers、Vermilion Cliffs Overlookなど。一部は行ったことがあるところだけれど、十分楽しめた。ホース・シュー・ベンドは柵ができていると聞いていたが、正面のほんの一部だけなのをみて安心した。

レストラン

ザイオン国立公園入り口近く町スプリングスデールでのおすすめは オスカーズ・カフェ。 ヴェルデ・ソースのエンチラーダが美味。

カナブの町はレストランが予想以上に充実していた。 ロッキング・V・カフェ は今回の旅行でいったレストランでは一番良かった。ハラペーニョ・ライム・チキンがうまかった。

フォトギャラリー

ザイオン国立公園

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旅程
 

最終更新日:2024年5月22日