ホワイト・サンズ国立公園の旅行記

はじめに
White Sands

真っ白な砂丘が広がるホワイト・サンズ国立公園(White Sands National Park)。真っ白な砂は太陽の光によって見え方が変わり美しい景観を作り上げる。

日が高い時間には真っ白な砂と青い空のコントラストが美しい。日が傾く頃には砂丘の起伏による陰影がはっきりしている。さらに日が低くになり気温が下がっていくのを肌で感じる頃には、砂丘の陰影は徐々に柔らかくなっていき、真っ白な砂がほんのりと赤みを帯びてくる。日が山の端に隠れるころには砂丘の赤みが一層強くなり空も赤く染まってくる。空からの反射光でピンク色に照らされる砂丘の陰影は淡くシルクのようになめらかでまるで水墨画のようだった。うねるように広がる砂丘が作る景観が時間とともに刻々と変化していくさまは感動的だった。

言葉では伝わらないと思うので、 フォト・ギャラリー を見てほしい。

ホワイト・サンズ国立公園へ行き方、撮影時間と時期

ホワイト・サンズ国立公園はニュー・メキシコ州の南端にある、最寄りの空港のテキサス州エル・パソ(El Paso)から車で1時間半ほどの距離。ニュー・メキシコ最大の都市アルバカーキ(Albuquerque)やサンタ・フェ(Santa Fe)からは3時間半ほどの距離。最寄りの町はアラモゴード(Alamogordo)という小さな町。

6−8月は最高気温の平均が35度で時には40度近くまであがることもある。9-11月は最高気温の平均が27度ぐらいなので過ごしやすい。私達が行ったの11月の初めでも最高気温は25度を超えていた。春も過ごしやすい気温だが風が強いことも多いらしいく、カメラの取り扱いには気を使いそう。

公園の開園時間は朝7時から夕方は日の入りの後1時間から1時間半程度。夏時間の間は(3月から11月初旬まで)キャンプでもしない限り日の出には間に合わない。写真撮影が目的なら夕方に行くのがおすすめ。軍事訓練の関係で時々開園時間が変更されることもあるらしい。開園時間は 国立公園のホーム・ページ で確認できる。

撮影場所と撮影方法
White Sands

公園の東端にあるビジターセンターから片道13kmほどのデューンズ・ドライブ(Dunes Drive)という北西に走る一本道がある。途中までは舗装されているが、後半は未舗装路になる。きちんと整備されているので普通車でも問題ない。デューンズ・ドライブからいくつかのトレイル・ヘッドがある。写真を撮るには一番奥にあるアルカリ・フラット・トレイル(Alkali Flat Trail)かその手前にあるバックカントリー・キャンプ・トレイル(Backcountry Camping Trail)がおすすめ。

私達は日の入りの二時間ほど前に公園の一番奥にあるアルカリ・フラット・トレイルの駐車場に着いた。なるべく早く人気がない所まで行きたかったのでトレイルに沿わずに真西に進んだ。

砂丘の平らなところは砂が締まっていて歩きやすいが、砂丘の起伏は5−20mぐらいの高さがあり、斜面が急な所は砂が崩れやすく登るのが大変。11月の初旬の午後4時過ぎだったにも関わらず気温は25度近くまであがり、照り返しもあって結構暑い。砂丘の丘の影で休みながら進んでいくといい。

White Sands

起伏がある砂丘の丘をいくつも超えながら30分ほど歩くと足跡が全くないところまでたどり着いた。ここからは砂丘のうねるような起伏が幾重にも重なり合っていて美しい。背景にはサン・アンドレス山脈(San Andres)が広がる。撮影地点を決めたら砂に腰を下ろして日が低くなるのを待った。白い砂は光をあまり吸収しないのでひんやりとして気持ちがいい。足元をみると規則正しい砂紋が低くなってきた日を受けてくっきりとした模様を作り出す。

砂丘でレンズ交換をしたくなかったので、今回の撮影は70-200mmの望遠ズームレンズ一本で望んだ。砂丘のうねりは大きいので望遠で圧縮効果が効いた写真が撮れる。広角が必要な時はiPhoneで撮影した。日が低くなると太陽の方向とその左右60度ぐらいで砂丘の起伏による陰影が一番きれいに見えた。順光になる東向きはうねりのコントラストがでない。日が沈みきった後の撮影には三脚が必須。途中からはオート・フォーカスが効かなくなるほど砂丘のコントラストが淡くなるのでマニュアル・フォーカスで撮影した。絞っての撮影なのでモニターで拡大しての厳密なピント合わせはしなくても良い。

注意点
White Sands

公園内は携帯の電波はほぼ入らないし、砂丘の中では目印になるものが殆どないので、Google MapやMaps.meなどの地図を予めダウンロードしてGPSで位置が確認できるようにしておくといい。閉門の時間までに公園を出れるように注意が必要。撮影地点から駐車場までの時間と駐車場から門までの時間を計算にいれて撮影を終えるようにしたい。

11月でも暑くなるし乾燥しているので水分補給は十分に。夏の暑くなる時期ならならなおさら。靴は砂が入るのを前提ならスニーカーでも大丈夫。私達はトレッキング・ブーツは今回持っていかなかった。

砂丘のでき方と歴史

ホワイト・サンズ国立公園の西側に広がるサン・アンドレス山脈に鉱石として多く含まれる水溶性の雪花石膏(gypsum, 硫化カルシウム)が雪解け水や雨水に溶け出してルセルノ湖(Lake Lucerno)に流れ込む。流れ出る川はなく、乾季に湖の水が干上がることによって雪花石膏の結晶ができあがる。ギブスに使う石膏と同じ成分で真っ白。その結晶が風に運ばれて砂丘が出来上がる。面積は約580平方kmと東京の約4分の1の広さ。石膏ででき砂丘としては世界最大。

ホワイト・サンズは1933年に国定記念物(National Monument)指定され、2019年に国立公園になった。2008年には世界遺産暫定リストにも登録されたが、周囲にいくつか軍事施設があり国防上の問題でアメリカ議会の承認が得られなかったという経緯がある。

終わりに

今回ニューメキシコに4日ほどの短い旅行だったので、サンタ・フェ中心に滞在する予定だった。車で片道3時間半かかるホワイト・サンズ国立公園に行くか迷ったが、行って本当に良かった。写真が好きなら絶対オススメ。

White Sands

フォトギャラリー
ホワイト・サンズ国立公園
 

最終更新日:2024年5月28日