メイン州とアケーディア国立公園の旅行記

はじめに

メイン州はアメリカ合衆国ニューイングランド地方の最北部の州で、カナダに接する州。州の愛称はバケーション・ランドで、ボストンやニューヨークの大都市圏から大勢の人が訪れる。観光客の7割は涼しい夏の間に集中し、人口130万人の州にその20倍の2600万人もの人が夏に訪れる。広さは8万平方キロで、北海道とほぼ同じ面積と緯度にある。

メイン州の見どころはニュー・イングランド地方唯一の国立公園でもあるアケーディア国立公園。標高は低いが岩場の多いトレイルがたくさんあり楽しめる。トレイルからはきれいな海岸線や湖の景色を楽しむ事ができる。

メイン州の海岸線は非常にいりこんでいて、海岸線の直線距離は300km弱なのに、半島・湾や島をあわせた海岸線の総距離は5500kmにもおよぶ。近海には大小三千もの島がある。その地形のおかげで漁業が盛んで、とくにロブスターは全米一の収穫量をほこり、牡蠣の養殖でも有名。毎日シーフードを満喫できる。

また海岸線沿いには65個もの灯台があり、それらを巡るのも楽しい。

私達は数年前の8月と今回5月の中旬の2回訪れたのまとめてみた。

アケーディア国立公園(Acadia National Park)

アケーディア国立公園は海岸性沿いのカナダ国境近くにあるニューイングランド地方唯一の国立公園。訪問客数は全米の国立公園の10傑に入るほどの人気のある公園でボストンから車で5時間ほどの距離。

アケーディア国立公園の大半はマウント・デザート島(Mount Desert Island)にあるが、それ以外にオー・ハウト島とスクーディック半島の2つの離れたエリアもある。私達を含めほとんどの人はマウント・デザート島を訪れる。

アケーディア

マウントデザート島は中央部にあるサムズ入江(Somes Sound)で東西のセクションに分かれている。島の最大の町であるバー・ハーバー(Bar Harbor)や公園の循環路のパーク・ループ・ロード(Park Loop Road、地図の青い線)や公園の見どころの多くは東側に位置している。自虐的にか西側のセクションはQuiet Sideとも呼んでいるよう。

公園の北東端の入り口近くにビジターセンター(Hulls Cove Visitor Center)があるので情報収集ができる。レンジャーにおすすめのトレイルを聞いたり、トレイルが詳しく書いてある地図を買ったりすることができる。

国立公園のチケットを持っていない人は、ここで購入しておくと便利。キャデラック山の入口とビーハイブ・トレイルの近くに料金所がありチケットを購入できるが、料金所を通らずに公園内に入れてしまうので注意が必要。公園内の駐車場に車を停める際にはチケットをダッシュボードに掲示する必要がある。

私達が訪れたのは5月の中旬で、白樺などの広葉樹が芽吹きはじめる時期だった。5月の下旬は新緑が眩しい季節だろう。

Acadiaの日本語表記は”アーカディア”としているところも多いようだが、発音は”アケイディア”もしくは”アケーディア”に近いようなので、”アケーディア”に統一している。

キャデラック山(Cadillac Mountain)
アケーディア

島内の最高峰の山(標高466m)で島全体を見渡す景色を楽しめる。10月から3月の間はアメリカで最初に日の出が見られる場所としても知られ、多くの人が朝日を見にいくらしい。頂上付近は花崗岩に覆われているが、岩の上に遊歩道が整備されていて散策することもできる。

山の頂上までCadillac Summit Roadを通り車で行くことができるが、繁忙期は予約が必要。たとえば2024年は5月22日から10月27日の間は予約が必要。

キャデラック山にはトレッキングでも行ける。ノール・リッジトレイルはCadillac Summit Roadの近くを尾根に沿って登っていくルート(距離:6.8km、累積標高:344m)。

ビーハイブ・ループ・トレイル(Beehive Loop Trail)
アケーディア

アケーディア国立公園で一番有名なトレイルで、ビーハイブという蜂の巣の形をした150mほどの岩山を登る。高低差は大したことないが難易度は高め。岩山は急勾配の場所が何か所もあり、岩に打ち付けられたはしご状に並んだ金具に手や足をかけて登るところが数か所ある。

ビーハイブの頂上からは登ってきた側とは反対側から緩やかな下り坂をおりてボウル(The Bowl)という小さな池を経由してから戻る。ループ状のトレイルを反時計周りに回ることになる。ビーハイブの急勾配の登りを避けたい人は、時計回りでビーハイブの頂上まで行き、頂上で引き返して戻る方法もある。くれぐれも急勾配の斜面を降りないように。

ビーハイブの頂上や急斜面のトレイルから直下にサンド・ビーチと大西洋の絶景が広がる。トレイル・ヘッドはサンド・ビーチの駐車場近く。

アケーディア

距離:2.4km、累積標高:155m

ビーハイブ・ループ・トレイルでは距離的に物足りない人は、ボウル池の後に南下してゴーハム山(Gorham Mountain)を通り、オーシャン・パス(Ocean Path)という海岸線沿いのトレイルを戻るルートがおすすめ。

距離:5.6km、累積標高:239m(3時間弱)

アケーディア山(Acadia Mountain)へのトレイル
アケーディア

アケーディア国立公園の西側地区にあるアケーディア山(標高208m)に登るトレイル。レンジャーが勧めてくれたトレイルの一つ。頂上からはサムズ入江を見下ろす絶景が見れる。人は多くないし、景色もまさるのでビーハイブよりおすすめ。

アケーディア

トレイル・ヘッドから直接アケーディア山に登るルートと、マン・オー・ウォー(Man O War)という平らなトレイルで山の反対側(サムズ入江の近く)まで行き、そこからアケーディア山を登るループ・トレイル(反時計回り)がある。サムズ入江側の斜面の方が急勾配で手をついて登る斜面も何か所かあるが、登りながらサムズ入江を見下ろすことができるのでループ・トレイルがおすすめ。ループ・トレイルを時計方向に回るのは急斜面を下るのでおすすめできない。

距離:4.0km、累積標高:216m(ループ・トレイル) 距離:1.5km、累積標高:210m(直接登るトレイル)

私達は追加でマン・オー・ウォー(Man O War)で再びサムズ入江の近くまで行き、そこから右折してピーク・ヴァレー・トレイルを通りセイント・ソーヴァー山(St. Sauveur、標高207m)を登るループ・トレイルを歩いた。ピーク・ヴァレー・トレイルから見るサムズ入江の景色は少し角度が変わって美しい。ピーク・ヴァレー・トレイルもかなりの急勾配で手をついて登る斜面が何か所もあるので、こちらは時計回りがおすすめ。

バブル山(The Bubbles Trail)とバブル岩
アケーディア

東側地区のジョーダン湖(Jordan Lake)とイーグル湖(Eagle Lake)の間にあるバブル山。北側(266m) と南側(233m)との2つの山頂がある。南側の山頂の近くには数メートル大の巨石が崖の淵にある。氷河には運ばれてきたらしい。北側のピークからはジョーダン湖の眺めが美しい。

アケーディア

トレイル・ヘッドはパーク・ループ・ドライブ沿いにある駐車場から。トレイルは途中で分岐し、北側のバブル山頂、南側のバブル山頂、ジョーダン湖畔に行く3つのトレイルに分かれる。北側の山頂のトレイルはそのままイーグル湖の湖畔まで、北側の山頂のトレイルはそのままジョーダン湖の湖畔まで続いているらしい。

距離:2.6km、累積標高:157m、(北側バブルの山頂と南側のバブル岩まで行って引き返した場合)

メイン州の灯台巡り
メイン灯台の地図

メイン州の海岸線沿いには65個もの灯台がある。メイン州のState Quarter(25c硬貨)にも灯台があしらわれている。アメリカの有名な画家Edward Hopperもメイン州によく訪れており、メイン州の灯台を題材にした絵をたくさん残している。

訪れた灯台を南側から紹介していく。

Cape Neddick (Nubble) Lighthouse (York)
ナブル灯台

メイン州の南端の町ヨークのネディック岬のすぐ近くのナブル島に1879年に建てられた灯台。ポートランドからは1時間ほどの距離。クリスマス・シーズンにライトアップされるらしい。

Two Lights Lighthouse (Portland)
ツー・ライツ灯台

ポートランド・ヘッド灯台よりさらに5kmほど南にある1828年に建てられた灯台。もともとは二基の灯台があったが、後に一基になった。

灯台近くの海岸線はごつごつした岩場になっていて、そこから灯台を見ることができる。

Portland Head Light (Portland)
ポートランド・ヘッド灯台

1791年に建てられたメイン州最古の灯台。ポートランドから車で15分ほど南に行ったケープ・エリザベスにあり、アメリカで一番写真を撮られている灯台といわれるほど有名。海岸沿いから少し突出したところに灯台は立っているので、夏は南側から、冬は北側から朝日を逆光にした写真が撮影できる。灯台はゲートがある公園内にあり、ウェッブサイトでは日の出から日没までオープンとなっているが、日の出に十分間に合う時間にはゲートは開くので大丈夫。

私達は8月の早朝に撮影しに行ったが、厚い雲がかかっていてきれいな朝焼けは見れなかった。それでもほんのりと色づいた空と静かな海に佇む灯台は美しかった。

ポートランドから・ヘッド灯台美しい光景とは裏腹に、蚊の多さには本当に辟易した。こんなにたくさんの蚊を見たことないというぐらいの多さ。レインコートをフードをかぶり、手もなるべく出ないようにしたけれど、それでも何箇所も刺された。夏に行く人は虫除けスプレーは必須。

Doubling Point Lighthouse (Bath)
ダブリング・ポイント灯台

造船の町バースに流れるケネベック川沿いに1898年に建てられた小さな灯台。旅行前は全くノーマークだったが、バースで時間ができたので行くことにした。バースから対岸に渡り、未舗装路を不安になりながら2kmほど進むと灯台に行き着く。灯台に連なる白いてすりの橋が可愛らしい。

Pemaquid Point Lighthouse (Bristol)
ペマキッド・ポイント灯台

ポートランドの北100kmほどにあるブリストルという町の近く、ペマキッド岬にある1835年に建てられ灯台。メイン州のState Quarter(25c硬貨)のデザインにもなっている。

灯台のすぐ脇の岩場が坂になっているが、特徴的な層状の変性岩が灯台に向かって流れるような模様になっている。超広角レンズで撮影するとすごくダイナミック。

Rockland Breakwater Lighthouse (Rockland)
ロックランド・ブレイクウォーター灯台

ポートランドの北110kmにある港町ロックランドにある1902年に建てられた灯台。灯台は約1.4kmの防波堤(Breakwater)の先端にある。防波堤は1-2m大の直方体に切られた花崗岩を積み重ねて作られている。一番深いところでは25mもあり、使われた花崗岩は70トンに及び、建設には20年もかかったらしい。

防波堤は開放されていて灯台まで歩いていける。1.4kmの距離だが積み重ねられた花崗岩の間には隙間があり、歩きにくいのでもっと長く感じる。

防波堤の近くにはロブスター漁の網がたくさん仕掛けてあり、船に乗った漁師がロブスターを網から取り出すところを見ることができた。

Curtis Island Lighthouse (Camden)
カーティス・アイランド灯台

ポートランドの北120kmにある港町カムデンの沖合の小さな島カーティス島に1835年に建てられた灯台。カムデンの港から1kmほど東にある展望所から間近で灯台を見ることができる。展望所は海岸線に並ぶ民家の間にあり、それ以外の場所からは灯台を近くから見ることはできない。

訪れた8月は展望所からだとちょうど灯台と重なるよう朝日が昇る。曇っていて朝日が見れるか不安だったけれど、なんとか雲の合間から朝日が覗いてくれた。

Bass Harbor Lighthouse (Acadia National Park)
アケーディア

アケーディア国立公園の西側地区にある1858年に建てられた灯台。岩場から見る灯台と夕日に染まる美しい景色を見ることができる。

ポートランド(Portland)

ポートランドはメイン州で最大の都市で、ニューイングランド地方でボストンに次ぐ大きさの港町。都市圏人口は50万ほどのこじんまりした町。

オールド・ポート地区はもともと倉庫街だった場所で、赤レンガの建物や石畳の道の昔ながらの街並みが保存されている。現在では街の中心でレストランやおしゃれなお店が軒を並べる。オールド・ポート地区から一本道を隔てたところには埠頭があり、そこにもフィッシュ・マーケットやレストランがある。

イーブンタイド・オイスター(Eventide Oyster Co) はポートランドのオールド・ポート地区の東端にあるシーフード・レストラン。超人気でで2人では予約はとらない。私達は平日の11時半頃に行ってのだが、それでも3時間待ち。電話番号を残してウェイト・リストに入れてもらって、その間オールド・ポート地区を散策しながあら待つこと。

牡蠣が有名で地元の新鮮の牡蠣が12種類の中から選べる。私達は適当に選んでもらったけれど、好みを伝えて選んでもらうこともできる。ワイン・ビネガーのタレとレモンで食べる新鮮な牡蠣は絶品。生のクラムは牡蠣の1/3の値段でかなりお得。にがいのが好きならお勧め。

ロブスター・ロールは絶品で絶対頼むべき。ふわふわのパンの上にバターが効いたロブスターがのっている。他の店のはホットドッグ用のバンのようなパンにマヨネーズで和えたロブスターが一般的。大きさ・値段とも他の半分ぐらいというのも良い。

スケイルズ(Scales) は埠頭にある人気のシーフード・レストラン。倉庫を改装したような開放的なスペースが心地よい。

ストリート・アンド・コ(Street and Co) はスケールズの姉妹店。

ISF Trading はウニをなどの海鮮物を扱っている卸売業者で、メイン州産のウニの8割を扱っているとのこと。倉庫街にあるが、一般の人にも小売してくれる。

2階には買ったウニを食べられるスペースがあり、旅行者には嬉しい。レンチンできるご飯や海苔なども販売している。醤油やわさびなども用意してある。

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最終更新日:2024年5月20日