バンフ国立公園の旅行記

はじめに
バンフ国立公園、

モレーン・レイク、レイク・ルイーズ、ペイト・レイクなどのターコイズ・ブルーの氷河湖、三千メートル級の山々や氷河が作り出す景観が美しいバンフ国立公園。カナダで最初に指定された国立公園。

カナディアン・ロッキー山脈自然公園群としてジャスパー国立公園(Jasper)、ヨーホー国立公園(Yoho)、クートネイ国立公園(Kootenay)と併せて世界遺産に登録されている。バンフ国立公園の南にあるウォータートン・レイクス(Waterton Lakes)国立公園はアメリカ合衆国のグレイシャー国立公園と併せてウォータートン・グレイシャー国際平和公園として世界遺産に登録されている。

バンフ国立公園町の一番の大きな町はバンフ。人口1万人弱の町。アメリカ合衆国の国立公園では町は公園外にあるが、カナダでは町が公園内にある。公園内のホテルやレストランの殆どがこの町にある。バンフから北50kmのところにあるレイク・ルイーズという小さな町にもいくつかホテルやレストランがある。バンフから南東25kmのところにあるキャンモア(Canmore)は公園の外にあるが、人口1万人強の町でここを拠点にすることもできる。

バンフ国立公園の地図

バンフ国立公園内にはカナダを横断するトランスカナダ・ハイウェイ(Trans-Canada Highway, Highway1)が通り、バンフとレイク・ルイーズの町を結ぶ。バンフとレイク・ルイーズの間にはトランスカナダ・ハイウェイに並行してボウ川の東側に旧道であるボウ・ヴァレー・パークウェイ(Bow Valley Parkway, Highway1A)が走る。レイク・ルイーズから北にはアイスフィールド・パークウェイ(Icefields Parkway)がジャスパーまで走る。最寄りの空港がある町はカルガリー(Calgary)で、車で一時間半ぐらいの距離にある。

モレーン・レイク(Moraine Lake)

モレーン・レイクはバンフ国立公園の中で最も美しい湖。知名度では北側に一つ山を隔てたところにあるレイク・ルイーズに押されがちだけれど、その景観の美しさは圧倒的。美しいターコイズ・ブルーのモレーン・レイクのすぐ後にはテン・ピークス(Ten Peaks)と呼ばれる三千メートルを超える山が10個連なっている。特に日の出の時間には、朝日に照らされたテン・ピークスと湖の青、針葉樹の緑の対比が美しい。70年代にはカナダの20ドル紙幣のデザインにも使われていたこともあるカナダを代表する景色のひとつ。

モレーン・レイクの背後のテン・ピークスの山の名前はマウント・フェイ(Mt. Fay)、マウント・リトル(Mt. Little)などと英語風の名前が多いが、左から4番目はTonsa、9番目はNeptuak、10番目はWenkchemnaと聞き慣れない名前がついている。先住民であるNakoda族の数字の4,9,10という意味らしい。最近ではアメリカやカナダの地名を先住民が使っていた名前に戻す動きがあり、今後多くの地名が変わっていくかもしれない。

ロックパイル(Rockpile)
バンフ国立公園

モレーン・レイクの北側には駐車場やロッジなどの施設があり、そのすぐ近くにあるロックバイルは氷河に押されて大きな岩が積み重なって小高い丘になっている所。丘の上はモレーン・レイクとその背後にそびえるテン・ピークスの格好の撮影スポット。

朝日がテン・ピークスを照らすのが最高に美しいので、日の出の時間にはすごい人でごった返している。人が写り込まないような撮影場所を確保するのが大変なほど。

日中は逆光になるので、テン・ピークスはあまり映えないけれど、湖の色が一層ときれいに見える。夕方の時間は湖もテン・ピークスも影になり、やわらかい光の中での景色もきれい。時間を変えてロックパイルからの撮影をおすすめする。

カヌー
バンフ国立公園

モレーン・レイクでのカヌーはおすすめ。ターコイズ・プルーの湖面を滑るようカヌーが進んでくれる。漕ぐ手を休めると、カヌーが水の上を滑る音が心地よい。

湖の上からの景色はロックパイルからとは違う景色を見ることができる。テン・ピークスにある氷河が近くから見れたり、湖の東側のマウント・テンプルもきれいに見える。

カヌーのレンタルは一時間につき130カナダ・ドルとやや高いが、それだけの価値があると思う。モレーン・レイク・ロッジの宿泊客はレンタル料は無料。

ラーチ・ヴァレー・トレイル(Larch Valley Trail)
バンフ国立公園

ラーチ・ヴァレー・トレイルはモレーン・レイクから湖の北に位置するテンプル山の山麓まで続くトレイル。最初の数キロは常緑針葉樹に囲まれた森の中の登りが続く。スイッチバックが10回ほど続くが、7,8番目あたりから時々モレーン・レイクのターコイズ・ブルーが森の中から顔を出す。

森を抜けてベンチがあるところまで来ると、ラーチ・ヴァレー・トレイルとアイフル・レイク・トレイルの分岐点。ここをすぎると地形はやや平らになり、景色が広がってくる。左側にテン・ピークス、右側にはマウント・テンプルがそびえ立つ。

このあたりからトレイルの名前にもなっているラーチというカラ松の一種が多くなる。ラーチは落葉性の針葉樹で秋には黄色に色づき、美しい景色になるらしい。

距離:10km、累積標高:630m

アイフル・レイク・トレイル(Eiffel Lake Trail)
バンフ国立公園

アイフル・レイク・トレイルはモレーン・レイクから湖の北西に位置するアイフル山の麓にあるアイフル・レイクまでのトレイル。最初の数キロはラーチ・ヴァレー・トレイルと同じ道を登ることになる。ベンチがあるところでの分岐で左側に進み、テン・ピークスに近い側を歩く。朝早めに出たのでテン・ピークスの山肌に光が入って美しい。アイフル・レイクはラーチに囲まれた小さな湖で背後にテン・ピークスがそびえ立つ。

私達は、ラーチ・ヴァレー・トレイルをモレーン・レイク・ロッジのガイド付きハイクに参加したので2日に分けて歩いた。最初の数キロは共通で登りが続くので、体力に余裕があるなら2つのトレイルを一日で歩くのが勧め。

距離:12km、累積標高:610m

バンフ国立公園の地図
タワー・オブ・バベル・トレイル

タワー・オブ・バベルはテン・ピークスの左側にある小高い山で、頂上からはモレーン・レイクを見下ろす事ができる。距離は2.9kmと短いが520m登る急坂のトレイル。最後は手をついて登るスクランブリングも必要。ヘルメット着用推奨とのことで、私達は登らなかったけれどリンク貼っておきます。

モレーン・レイクへの行き方

バンフから車で一時間、レイク・ルイーズの町からは15分ほどの距離。非常に人気が高く、駐車場も狭いので車で行くのは至難の技。駐車場が満車になるとモレーン・レイクへの道が閉鎖されてしまう。例えば私達が行った9月初旬は日の出が7時頃だけれど、5時前には駐車場が満車になるらしい。禁止されているにもかかわらず、前日の夜に来て車中泊をする人もいるらしく、朝早く行っても駐車場に空きがあるか保証できない状況。車で行くなら夕方の遅い時間に訪れるのが唯一確実な方法。

車で朝早くか夕方遅くに訪れる以外にもいくつか方法がある。パーク・カナダのシャトルを使う、ツアーに参加する、モレーン・レイクの湖畔にあるモレーン・レイク・ロッジに泊まる方法がある。いずれも前もっての予約が必須。レイク・ルイーズの町から自転車で行く、トレイルを歩くオプションもないことはないが、距離が結構あるので大変そう。

レイク・ルイーズ(Lake Louise)

レイク・ルイーズはバンフ国立公園の中で一番有名な湖。イギリスのビクトリア女王の四女から名前を取っている。レイク・ルイーズの奥にはマウント・ビクトリアがそびえ立ち、その中腹にあるビクトリア氷河からの水が湖に注ぎ、ターコイズ・ブルーの色を作り上げる。湖畔には有名なシャトー・レイク・ルイーズという高級ホテルがある。湖を見下ろすトレイルから見るとまるでお城のよう。

アグネス・レイク、ビッグ・ビーハイヴ、リトル・ビーハイヴへのトレイル(Agnes Lake, Big and Little Beehives Trail)

レイク・ルイーズの北側にある小高い丘、ビッグ・ビーハイヴ、リトル・ビーハイヴに行くトレイル。岩の形が巨大な蜂の巣のような形なのでビーハイヴ。

レイクルイーズを左手に見ながらトレイルを進むと3km程度でミラーレイクという小さな池到着。ミラーレイクの背後にビッグ・ビーハイブがそびえ立つ。そこから少し行くとアグネス・レイク。ちょうどビッグ・ビーハイブとリトル・ビーハイブの間に位置する。アグネス・レイクの湖畔にはアグネス・ティーハウスという喫茶店があり一休みに丁度いいのだが、、、朝早く出たにもかかわらず10人以上待っている人がいる。湖畔の岩で一休みして、ビッグ・ビーハイブに向かう。

レイク・アグネスを左手に見ながら湖畔を進み、ちょうどティーハウスの対岸のあたりでモレーンを通り過ぎると急勾配の坂が始まる。スイッチバックの坂を登るきるとビッグ・ビーハイブの頂上。頂上からはレイク・ルイーズを見下ろすことができる。湖畔にあるシャトー・レイク・ルイーズがまるでお城のよう。場所によっては先程通ったミラーレイクも見下ろすことができる。

バンフ国立公園の地図

登ってきたトレイルをレイク・アグネスまで戻って、そこからリトル・ビーハイヴを目指す。リトル・ビーハイブへのトレイルは緩やかで、距離も短い。頂上からはビッグ・ビーハイブからと同じようにレイク・ルイーズを見下ろすことができる。トレイルがやや下り始めるところまで行ったところが一番開けていているのでおすすめ。さらに左側に行くと、北側にアイスフィールド・パークウェイが伸びる方向の景色が雄大に広がるので、そちらもおすすめ。

今回ビッグ・ビーハイブとリトル・ビーハイヴの両方に登ったけれど、上からのレイク・ルイーズの景色はあまり変わらないので、時間がないならリトル・ビーハイブだけでもいいかもしれない。

レイク・ルイーズへの行き方

バンフから車で45分ほど、レイク・ルイーズの町からは5分ほどの距離。比較的駐車場が大きいのでモレーン・レイクほどではないが、時間によっては駐車場が満車で入れない可能性もある。私達が行った9月初旬で7時半ごろでは80%程度駐車場は埋まっていた。

アイスフィールド・パークウェイ(Icefields Parkway)沿いの見どころ

アイスフィールド・パークウェイはレイク・ルイーズとジャスパーの町を結ぶ美しい景観の道。カナディアン・ロッキーの山々の間の氷河に削り取られたU字谷沿いの全長230kmの道にはたくさんの氷河、氷河湖がある。南半分がバンフ国立公園、北半分がジャスパー国立公園内に位置する。ここではバンフ国立公園内の見どころを紹介する。

ペイト・レイク(Payto Lake)

アイスフィールド・パークウェイの一番の見所のペイト・レイク。クマの形をしたターコイズ・プルーの湖を展望台から見下ろすことができる。駐車場から展望台は500mの距離。トレイルは舗装されていて、車椅子でもアクセスできる。

時間と体力があるなら、この展望台からさらに坂を登ったところには、何か所か湖を見下ろすことができるところがある。展望台からさらに20分ほど登ったところにある小高い丘の上からはほとんど人がいないのでゆっくりと大自然を楽しめる。ここからの湖の形は少し違って、クマの口の部分が尖っている。ということで、かわいいクマの写真には下の展望台からがおすすめ。

クマの向こう側に広がるのはアイスフィールド・パークウェイがジャスパー方面へ伸びる渓谷。

アクセスはバンフから1時間ほど、レイクルイーズから30分ほどの距離。最近二年ほど工事のためトレイルは閉鎖されていたらしいが、おかげで駐車場は広いので安心。

ボウ・レイク(Bow Lake)

ペイト・レイクのすぐ南、レイクルイーズから30分ほどの距離にある氷河湖。ボウ・レイクの背後にはボウ氷河をたたえる山々がそびえ立つ。バンフ公園内を縦走するボウ川はここが源流。アイスフィールド・パークウェイ沿いに駐車場があり便利。

クロウフット氷河(Clawfoot Glacier)

ボウ・レイクの南側にある氷河で、アイスフィールド・パークウェイ沿いに展望所があり。氷河は大分縮小していて、クロウフット(カラスの足)という名前がつけられた頃とは大分形が変わっているらしい。それでもなんとなく爪が三個あるカラスの足に見えなくもない。

ミスタヤ渓谷(Mistaya Canyon)
バンフ(Banff)近郊
ヴァーミリオン・レイクとマウント・ランダル()
ボウ・ヴァレー・パークウェイ(Bow Valley Parkway)沿いの見どころ

バンフ国立公園内

ジョンストン渓谷(Johnston Canyon)
(Mt. Castle)
モランツカーブ()
エメラルド・レイク

エメラルド・レイクはバンフ国立公園の西側にあるヨーホー国立公園(Yoho National Park)にある湖。氷河湖だがモレーン・レークやペイト・レイクのターコイズ・ブルーとは異なり、名前の通りエメラルド・グリーンの湖面が美しい。湖のすぐ近くにはいくつかの高い山があり、美しい景観を作り出す。エメラルド・レイクの周りの5kmほどのトレイルを散策したり、カヌーを楽しむことができる。湖畔にはロッジもあり、泊まってゆっくりすることもできる。

その他

公園内を通るトランスカナダハイウェイ(1号線)には動物が道に飛び出さないように柵が設置されている。しかし柵があると野生動物の行動を制限され、生態系に大きな影響がある。例えば、季節ごとに南北に移動する動物は移動を制限される。移動が少ない動物でも遺伝子の多様性が損なわれる。そこで作られたのが動物用の横断歩道。現在では高速の上を通るオーバー・パスが6個ほどあり、それ以外に高速道路の下を通るトンネルがいくつもある。トンネルの入り口は柵が高速道路近くまで続いているのでわかる。クマやムースなどの大型動物はオーバー・パスを渡り、キツネなどの小型動物は橋を嫌うのでトンネルを通る。

フォトギャラリー

バンフ国立公園

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ジャスパー国立公園(準備中)

旅程

最終更新日:2024年5月28日