トスカーナ中部の小さな街とオルチャ渓谷の旅行記

はじめに

トスカーナといえばフィレンツェとシエナが有名だが、シエナの周辺には世界遺産に登録されているサン・ジミニャーノやピエンツァをはじめ見どころがたくさんある。

サン・ジミニャーノ(San Gimignano)
サン・ジミニャーノ

サン・ジミニャーノは多くの塔が立っていることで有名な、中世の趣を残した世界遺産にも登録されている町。この町が最も繁栄した中世に貴族や地元富豪たちが競って高い塔を建てた。当時最大で72本もあったと言われてるが、現在残っているのは14塔。林立する塔を高層ビルに喩えて、中世のマンハッタンとも言われる。

前回トスカーナを訪れたときに行かなかったので、今回は絶対行こうと決めていた。到着した初日は生憎の雨まじりの天気だったけれど、雨に濡れた町も風情がある。日が傾きかけた頃には雨も上がり、町の西はずれにある城壁の展望所からは夕日に染まる塔に虹がかかり美しかった。翌朝は早起きして朝日に染まる町を撮影。撮影のことを考えてホテルは町から500mぐらい南東に離れたところにしていた。朝ごはんの後、もう一度町を散策してから次の目的地へ。

チェルタルド (Celtardo)

サン・ジミニャーノから北に15分ほどにある町。ルネサンスの名作「デカメロン」の作者ボッカッチオの生地としても知られる。新市街と高台にある旧市街からなるが、新市街に駐車してケーブルカーか徒歩で登ると旧市街に着く。こじんまりしていて観光客も少ない。見どころはプレトーリオ宮や花で飾られた路地や建物など。南側の路地からはサン・ジミニャーノをはるかに望むことができる。

ストラーデ・ビアンケの未舗装路

チェルタルドを後にしてモンテプルチアーノに向かう途中、高速道路を走るのも飽きてきたので下道を走ることにした。高速をおりてトーレ・カステロという町に来たけれど家が10軒ほどのごく小さな集落。道も細くなるし不安になっていたら、アシャーノという知っている町の標識があったのでそれに従うことにした。道はさらに細く未舗装路になったけれど、引き返すのも癪なのでそのまま行くことに。結局、アシャーノに着くまで約10kmずっと丘が連なる未舗装だった。

あとで調べたらこの道はストラーデ・ビアンケとう有名なロードバイクのレースのコースの一部で、しかも最難関の未舗装路セクションだった。ちなみにストラーデ・ビアンケの名は未舗装路が白い(白い道)ことに由来するらしい。

アシャーノ (Asciano) でピチと再会

未舗装路の運転が終わってアシャーノに着く頃には1時を回っていたのでお昼にすることにした。数年前この町を訪れたときにピチというパスタを初めて食べて感動したのが思い出される。以前ピチを食べたRistorante La Menciaというレストランはすぐに見つかった。コシのあるうどんのような太い麺がラグーソースにすごく合う。

今回の旅行でこのお店で2回、他の町でも3−4回ピチを食べたけれど、結局このお店のものが一番美味しいかった。おそらくコシの強さと手打ち特有のほどよい不均一さがいいんだと思う。シエナの近くに来たら是非食べてほしい。

オルチャ渓谷 (Val d'Orcia)
オルチャ渓谷

オルチャ渓谷はシエナの50kmほど南にある緩やかな丘陵地帯。ぶどう畑、オリーブ畑、麦畑が作り上げる牧歌的な風景の中に古い建物とそれに続く道に沿って立ち並ぶ糸杉が印象的な美しさ。小高い丘の上にはピエンツァ、サン・クイーリコ・ドルチャ、モンタルチーノなどの美しい中世の町が点在する。2004年には世界遺産に登録されている。

ルネッサンス時代から画家たちを魅了したこの風景は写真好きにはたまらない。いくつかの写真スポットを紹介する。

  1. チャペル・ヴィタリ-タ (Cappella della Madonna di Vitaleta)。ピエンツァとサン・クイーリコ・ドルチャを結ぶSP146からややピエンツァ側から未舗装路の農道を南方向に入る。1.5kmほど行くと駐車場があり、そこからは歩いてチャペルに行ける。CretaioleとAgriturismo Il Rigoなどの宿がある道。この道は稜線を走る道なので、オルチャ渓谷のなだらかな丘陵地帯が見渡せ、遠景にはピエンツァも望める。
  2. モンティッキエッロの町の南側のSP88沿いに立ち並ぶ糸杉。SP88から町の南側で農道に入ると並木道が見下ろせる。
  3. アシャーノとサン・ジョヴァンニ・ダッソを結ぶSP60沿いに立ち並ぶ糸杉。Agriturismo Baccolenoの私道なので道には入れないが、私道の入り口の南側に車が停められる。(正確にはここはオルチャ渓谷ではない)。
  4. ピエンツァの南側の城壁
ピエンツァ(Pienza)

オルチャ渓谷のなかで最も有名な町の一つで、この町も世界遺産に登録されている。15世紀にローマ法王ピウス2世が生まれ故郷のこの町を理想の街とすべき町の改造を命じた。町の中心にはピウス2世広場があり、その周りに大聖堂、ピッコローミニ宮、市庁舎などの建物がある。大聖堂の脇の道を進むと町の南側の城壁沿いの道があり、ここからはオルチャ渓谷の風景が広がる。

モンタルチーノ(Montalcino)の出来すぎたワイン屋
モンタルチーノ

モンタルチーノはオルチャ渓谷、アルビア渓谷、オンブローネ渓谷に囲まれた丘の頂上に建てられた中世の町。Brunello di Montalcinoというトスカーナの最高級赤ワインの産地として知られるている。

今回、ワインの試飲・購入の目的で訪れた。ワイナリーに行って見学と試飲をするという手もあるが、時間が限られていたため一箇所で何種類ものワインを試飲できるワイン・ショップに行くことにした。城壁の一角にあるその名もEnoteca la Fortezza di Montalcinoとうお店。城壁へのの登り口とチケット売り場も兼ねている。

試飲はBrunelloワインのセット(35ユーロ)を二人でシェア。ウェイターさんはなぜか6種類のワインをついで持ってきてくれた。ラッキーと思いつつ試飲を開始。ウェイターさんから畑の場所の違いでのワインの特徴などを聞きながら試飲していると、これも飲んでみてと2種類のワインが追加される。さらに話を続けて美味しかったワインを伝えると、また2種類のワイン追加。地元のペコリーノチーズに合わせたらきっと美味しいよね、お腹もすいたし注文しようか、と話していると、ウェイターさんがすでに厨房に頼んでいたらしく、ペコリーノチーズを持ってきてくれた。気が利く!最終的に12種類ものワインを試飲させてくれた。

私達がワインを買う気で来ていたことがわかった上でのサービスだとは思うけれど、すごく良かった。ウェイターさん自身、ワインが好きでたまらないという感じで、気づいたら3時間滞在していた。12本買うと送料が無料になるというので、6本は試飲したものから良かったものを選んで、残り6本は安めのBrunelloを彼に選んでもらって購入。私達が住んでいる町ではBrunelloのワインの種類は多くないし、やはり試飲して好みのものを選べるのはうれしい。

モンテプルチャーノ (Montepulciano)

モンテプルチャーノはオルチャ渓谷から一つ丘を隔てたキアーナ渓谷を見下ろす小高い丘の上にたつ町。"ルネサンスの真珠"と言われるほどで、町にはルネサンス時代の名残を残す建物が立ち並んでいる。グランデ広場には大聖堂や市庁舎が並ぶ。Vino Nobile di Montepulcianoという赤ワインの産地としても有名。町のはずれにあるサン・ビアージョ教会も端正な佇まいで美しい。

フォトギャラリー

トスカーナ・オルチャ渓谷

イタリアの他の旅行記

チヴィタ・ディ・バニョレージョとオルヴィエートの旅行記

トスカーナ・マレンマ地方の旅行記

ドロミテ地方の旅行記

旅程
 

最終更新日:2021年2月1日