ヨセミテ国立公園の旅行記

はじめに
ヨセミテ国立公園ハーフドーム

ヨセミテ国立公園はカリフォルニア州の東部、シエラネバダ山脈の西山麓に広がる国立公園。ヨセミテ渓谷、トゥオルミ・メドウズ地区、ワウォナとマリポサ・グローブ地区などのいくつかのセクションに分かれている。

ヨセミテ渓谷はシエラ・ネバダ山脈を覆っていた氷河に削り取られてできたU字谷で、主な見どころはここに集まっている。谷の南北にはハーフ・ドームやエル・キャピタンなどの花崗岩の岩山がそびえ立つ。北米最大の落差を誇るヨセミテ滝をはじめ多くの滝も見どころの一つ。渓谷は長さは13km、深さは1,600mにおよぶ。

冬季を除いてヨセミテ渓谷への入場には予約が必要(夏季は毎日、春・秋は週末だけ)なので注意が必要。

トゥオルミ・メドウズ地区はヨセミテ国立公園の北部にある高地。ヨセミテ渓谷から1時間半ほどの距離にある。トゥオルミ・メドウズの周辺には小高いドームやピーク、小さな湖がが点在している。ヨセミテ渓谷の豪快さはないが人も少なくゆったりと自然を楽しめる。

ヨセミテ国立公園はサンフランシスコから車で約3時間半(320km)、ロサンゼルスから約5時間(500km)、サクラメントから約3時間(283km)の距離。

ヨセミテ国立公園の地図
ヨセミテ国立公園の見どころ
ヨセミテ国立公園の地図
ハーフ・ドーム(Half Dome)

ハーフ・ドームはドーム状の巨大な花崗岩の岩山が半分に割れたような形で、ヨセミテの中で一番有名な岩山で見ごたえがある。標高2694mでヴァレー・フロアからの標高差は1500mにも及ぶ。

ヨセミテ国立公園ハーフドーム

ハーフ・ドームは見る角度で見た目が変わる。ヨセミテ渓谷から見ると半分に割れた割面の角度が45度ぐらいになるので、割面が左1/2ぐらいの割合いで見える(冒頭の夕日の写真)。グレーシャー・ポイントからは割面の角度が浅くなるので左側に1/3ぐらいの割合で割面が見え、左を向いたペンギンのようにも見える(写真左上)。グレーシャー・ポイントからパノラマ・トレイルを南に進むと割面がさらに薄くなっていく(写真右上)。さらに進むと途中から割面は裏側に回り込むので全く見えなくなり、まるでしゃもじのような形の岩になる(写真左下)。トゥオルミ地区にあるオルムステッド・ポイントからは割面が反対側の右側に見え、ドームの部分は左側にもう一つコブの岩が見える(写真右下)。

夕日に染まったハーフ・ドームも美しいので必見。やはりヨセミテ渓谷内から見るのがおすすめ。センチネル橋から見た川面にリフレクションを写した景色は最高だった。エル・キャピタン・メドウグレーシャー・ポイント、ミラー湖から見るのもいいだろう。

トレッキングでハーフ・ドームの頂上まで登ることができる。上級者向けのトレッキングで一部ケーブルをつたいながら登るらしい。かなりハードで往復22キロ、12時間以上の行程。

エル・キャピタン(El Capitan)
ヨセミテ国立公園トンネル・ビュー

エル・キャピタンは世界最大の花崗岩の一枚岩で、ヴァレー・フロアからの標高差は1100mにも及ぶ。ロッククライミングの聖地でもあり、エル・キャピタン・メドウから双眼鏡を使うとクライマーたちを見ることができる。

MacのOSの名前にもなっていたので写真を見た人も多いのでは。写真はトンネル・ビューから撮ったもので、左側の岩山がエル・キャピタン。

ヨセミテ滝(Yosemite Falls)

北アメリカで一番落差が大きい滝で合計の落差は739mにも及ぶ。上からアッパー(Upper, 436m)、カスケード(Cascade, 205m)、ローワー(Lower, 97m) の3つの滝からなる。春先が雪解けのため水量が最も多く、夏には水量が減り、秋には枯れていることが多い。私達が行った10月末は水がまったくなかった。

ヨセミテ・ウェルカム・センターとヨセミテ・ヴァレー・ロッジのすぐ近くの北側の岩壁にある。

アッパー・ヨセミテ・フォール・トレイル、ローワー・ヨセミテ・フォール・トレイルで滝の間近までトレッキングすることもできる(トレッキングのセクションを参照)。

ブライダルヴェイル滝(Bridalveil Fall)

ブライダルヴェイル滝は渓谷を通り抜ける風が直接当たる西向きの斜面にあるため強い風に晒される事が多い。強い風により滝からの水しぶきや霧が花嫁のベール(ブライダルヴェイル)の様に広がるためその名前がついた。先住民たちも風の精霊(Pohono)と呼んでいた。ヨセミテ渓谷の入口近くの南側の岩壁にある。トンネル・ビューから見るか1キロ弱のトレイル(Bridalveil Trail)を歩いたところから見ることができる。

ホーステイル滝(Horsetail Fall)

エル・キャピタンのすぐ東側にある滝。2月中旬から下旬にかけて日没の5−15分前に滝だけが夕日に照らされてあたかも滝に溶岩が流れているように見える。Googleの horsetail+firefall の画像検索のリンクです。

この現象はいくつかの条件が重なって見ることができる。

  1. 太陽の角度:2月中旬から下旬にかけてがこの季節にあたる。角度的には秋にもいい時期があるが、2.の条件が満たされない。
  2. 滝に水がある:この滝は雪解けの水だけが水源なので十分な積雪と雪解けが必要。雪があっても気温が低すぎると雪が解けないので水量が減るらしい。現在の水量はwebcamで確認できるらしい。
  3. 天気が良い。当然ながら曇っていると見られない。

ヨセミテ・ヴァレー・ロッジの東がの駐車場が最寄りの駐車場。かなり混むらしいので早めに到着したほうがいいとのこと。

ヴァーナル滝(Vernal Fall)とネヴァダ滝(Nevada Fall)
ヨセミテ国立公園ヴァーナル滝

ヴァーナル滝とネヴァダ滝はハーフ・ドームの南側にある滝。ミスト・トレイルという中等度なトレッキングで見に行くことができるので人気が高い(トレッキングのセクションを参照)。水量の多い時期には滝からの霧や水しぶきで濡れることからミスト・トレイルの名前がついたらしい。写真はヴァーナル滝。

グレーシャー・ポイントからも2つの滝を見ることができるが、かなり遠くに見える。

グレーシャー・ポイント(Glacier Point)
ヨセミテ国立公園グレーシャー・ポイント

グレイシャー・ポイントは標高2199mの地点にある展望台。車で行くこともできて、夏季には有料のシャトルもある。ヨセミテ渓谷の南側にあるので谷越しに北側にある岩山やヨセミテ滝を見渡せる。東側にはハーフ・ドームが眼前に大きく広がる。ここから見たハーフ・ドームが一番美しいと思った。

トレッキングが好きならフォー・マイル・トレイルでヴァレー・フロアから歩いて登ることもできる(トレッキングのセクションを参照)。シャトルでグレイシャー・ポイントで行き、トレッキングで降りてヴァレー・フロアまで戻るという方法もある。

グレイシャーポイントへの道路は積雪があると通行できなくなる。通常5月下旬から10月末ぐらいまで通行可能。

トンネル・ビュー(Tunnel View)

ヨセミテ渓谷の西側の入口近くにある展望台。左にエル・キャピタン、右側にブライダルベール滝と遠くにハーフ・ドームなどのヨセミテ渓谷全体が見渡せる。アンセル・アダムスの写真で有名になった所でもある。

トゥオルミ・メドウズ(Tuolumne Meadows)

ヨセミテ国立公園の北部にあるトゥオルミ・メドウズは標高2600mの高地にある草原地帯。ハーフ・ドームやエル・キャピタンと同じぐらいの標高なのでヨセミテ渓谷に比べ気温も低い。タイオガ・ロード(Tioga Road、冬季はクローズする)でヨセミテ渓谷から1時間半ほどの距離にある。トゥオルミ・メドウズの周辺には小高いドームやピーク、小さな湖が点在している。

トレッキング・ルートも充実していて、特に標高差が少なめのルートが多い(トレッキングのセクションを参照)。

トゥオルミ・メドウズの手前にあるオルムステッド・ポイント展望台からはハーフ・ドームを遠くに見ることができる。ヨセミテ渓谷から見るのとは逆方向から見るので形が違って見える。

テナヤ湖(Tenaya Lake)
トレッキング

ヨセミテ渓谷では欲張ってフォー・マイル・トレイル〜パノラマ・トレイル〜ミスト・トレイルの3つのトレイルを一日で縦走した。トゥオルミ・メドウズで短めのトレッキング、カテドラル・レイクス・トレイルを楽しんだ。以下のリストは私達が行っていないものも含めている(*)。

ヨセミテ渓谷のトレッキング
フォー・マイル・トレイル(Four Mile trail)

フォー・マイル・トレイルはヨセミテ渓谷のヴァレー・フロアからグレーシャー・ポイントまでのトレイル。同名のシャトルの停留所の近くにトレイル・ヘッドがあり、そここらひたすら登り続ける。木々の間から広大なヨセミテ渓谷と岩山や滝が見える。途中から東側にハーフ・ドームが見えてくる。

シャトルでグレーシャー・ポイントまで行き、下りだけヴァレー・フロアまで歩くということもできる。

距離:15.6km、累積標高:1043m(往復の場合)

パノラマ・トレイル(Panorama trail)

グレーシャー・ポイントから南向きに進む。ハーフ・ドームの見え方が変わるのを楽しみながら歩く。 滝をみながら 川と越えてネヴァダ滝近くまでのルート。

距離:14.6km、累積標高:694m(往復の場合)

ミスト・トレイル(Mist trail)

ミスト・トレイルはヨセミテ渓谷のヴァレー・フロアからヴァーナル滝とネヴァダ滝を見ながら歩くトレイル。トレイル・ヘッドはカリー・ヴィレッジ近くのハッピーアイル(Happy Isle)の停留所近く。

夏の水の多い季節にはヴァーナル滝からの霧の中を歩くのでミスト・トレイルという名前がついた。

距離:10.3km、累積標高:673m(往復の場合)

フォー・マイル・トレイル〜パノラマ・トレイル〜ミスト・トレイル

フォー・マイル・トレイル、パノラマ・トレイル、ミスト・トレイルの3つのトレイルを縦走するトレイル。距離・累積標高も長いのでタフのトレイル。ヴァレー・フロアでの出発・到着位置が離れているのでその間はシャトルを使わなくてはならない。

距離:22.0km、累積標高:1352m(往復の場合)

アッパー・ヨセミテ・フォール・トレイル(Upper Yosemite Fall trail)(*)
ローワー・ヨセミテ・フォール・トレイル(Lower Yosemite Fall trail)(*)
トゥオルミ・メドウズのトレッキング
カテドラル・レイクス・トレイル(Cathedral Lakes trail)

ドッグ・レイクス・トレイル(Dog Lake trail)(*)

エリザベス・レイクス・トレイル(Elizabeth Lake trail)(*)

シャトル・サーピス

ヨセミテ渓谷内の移動はシャトルが便利。Valleywide shuttleは渓谷全体を回るルートで、東端がHappy Islesと西端はEl Capitan Meadowの間の19ヶ所の停留所を回る。East Valley shuttleはそのうち東側半分のHappy IslesとWelcome Centerの間の9ヶ所の停留所を回るルート。いづれもループ状のルートで反時計回りに走る。それぞれ朝7時から夜10時まで10−20分の間隔で運行されている。

それ以外に夏季にはグレーシャー・ポイント、トゥオルミ・メドウズ、ワウォナに行くシャトルも運行されている。

宿泊施設

ヨセミテ渓谷内にはアワニー・ホテル(Ahwahnee Hotel)、ヨセミテ・ヴァレー・ロッジ(Yosemite Valley Lodge)、カリー・ヴィレッジ(Curry Village)の三ヶ所の宿泊施設がある。それ以外にテント場もいくつかある。いずれも早めの予約が必須。

ヨセミテ国立公園の外でもWest Yosemite, El Portalはヨセミテ渓谷まで30分ぐらいの距離なので比較的便利。それ以外にも1時間圏内に多数の宿泊施設がある。

岩山と滝のデータ(地図参照)
岩山 標高
Half Dome 2694m
El Capitan 2307m
Glacier Point 2199 m
Sentinel Rock 2134m
Three brothers 2362m
North Dome 2299m
Cloud Rests 3028m
ヴァレー・フロア 1220m

落差 水がある季節
Yosemite Falls 800 m 11月から7月
Sentinel Falls 660 m 3月から6月
Ribbon Fall 530 m 3月から6月
Horsetail Fall 330 m 12月から4月
Bridalveil Fall 310 m 通年
Nevada Fall 200 m 通年
Vernal Fall 110 m 通年
Illilouette Fall 120 m 通年
フォトギャラリー

ヨセミテ国立公園

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最終更新日:2024年10月26日